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電柱でござる [社会]

勿論、正しくは「殿中でござる」で「殿中」とは江戸城本丸の事、松之大廊下で高家旗本の吉良上野介に斬りつけたとして切腹に処せられた播磨赤穂藩藩主の浅野内匠頭に代わり家臣の大石内蔵助以下47人が吉良を討った赤穂浪士事件として今でも語り継がれている。この物語が話題になる度に、阿保な藩主を持った家来が可哀想な末路を辿った話としか私には受け取れない。自分の短気な性格で多数の家来を露頭に迷わせ、挙句の果てに47人もの死亡者を出したのである。吉良が嫌われた(?)のも「なんだかなあ」である。調べて見たら、”ちょっとおかしいんじゃないの?と噂の若者領主が、領民にも慕われている博識な老人領主をつまらん誤解で切れて刃傷沙汰になった。”というのがどうやら真相らしい。(私は老人の味方です!)

赤穂浪士の話で脱線してしまったが、「電柱の話でござる」(もういいいか)。街を眺めて見るとつくづく思うのが「電柱が邪魔だし、美観が台無しだよなあ」。そう思わないのは犬ぐらいではあるまいか?伊丹十三の受け売りになってしまうが、日本の街並みの景観を台無しにしている筆頭ではなかろうか?彼はそれ以外も指摘していて「日本人は醜い物を全て家の外側に出してしまう。エアコンの室外機と配管、トイレの臭突菅、TVのアンテナ、煙突、などなど」。私は各家にTVアンテナが屋根に針金で取り付けられているのを見る度に「無駄だよなあ」と思う。町内のブロック毎にしっかりしたアンテナを1本立てて分配すればかなりスッキリするし、費用も安上がりなのではなかろうか?でもアンテナなんてもう不要の時代になりつつある訳で、そんな私の着想など無駄なのだろう。



小池都知事が東京の無電柱化を本格始動するという。道路1Kmあたり4億円で400mの工事に7年かかると試算している。工事に時間がかかり過ぎるなあと思ったら、公道の工事はスムーズだが、公道から各家に繋げる電線は民有地を経由するので個々に交渉が必要なのだ。現在東京都には75万4000本以上の電柱が残っており、地中化率は37パーセントになっているのだが、全国的には現在でも電柱は増え続けているので、やっている事が市町村によってバラバラだ。でも小池知事の肝入り政策の一つが無電柱化なので、進捗スピードをアップさせて2020年の五輪開幕までにセンター・コア(山手通りの内側)、および競技会場周辺の都道と交通の要衝でもある環状7号線の無電柱化を目標に掲げている。これは1988年にソウルオリンピックが行われた時に、韓国政府が「犬肉」の看板やメニューを隠したのに似ているが、違うのはソウルオリンピックが終わったら元に戻ってしまったという点である。やはり皆が「無くしたい」と思わなければ、簡単には無くならないのだろう。無電柱化反対の人も大勢いて「コストがかかる」「断線した時に復旧時間がかかる」「暴走車を誰が止めるんだ!」「探偵はどこに隠れれば良いんだ!」が主な理由だが、後の二つで反対する人には「電柱に頭をぶつけて考え直せば?」と言っておきたい。



ここまで「電柱」という言葉を使って来たが、正しくは大きく分けて「電柱(電気用)」「電信柱(電話用)」「共用柱」の3柱があり、代表して「電柱」とした。この電柱だが8mのコンクリート製で約22000円、正当な理由があれば、例えば家を建て替えたら駐車場に車を入れられない、飲み過ぎて帰宅したら玄関に鍵をかけられ電柱をよじ登らなければ家に入れない等の理由があれば、頼めば有料だが移動もしてくれる。その費用だがタダから20万円ぐらいまでだという。実際に移動を頼んだ人は費用が16万円で半分は電力会社持ち、お金を振り込んでから3ヶ月で工事完了したという。「犬がおしっこをするので臭いから」では駄目だろう。黒澤明監督だったと思うが撮影現場でカメラを覗いて「そこの電信柱が邪魔だからどかせ!」とスタッフに怒鳴ったとか。「空があんなに青いのも、電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、みんなあたしが悪いのよ」という名セリフがあったけれど、遅かれ早かれ電信柱も郵便ポストも見かけなくなるのだろうが、青い空だけは何時までも残したい。


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