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アマゾンの1円書籍が? [教育・生活]

アンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」が欲しくてアマゾンで文庫本を捜したら、訳者によって何種類かあったのだが、筒井康隆訳は上下2巻に別れており、上巻は1円、下巻は114円で売っていて、送料は共に257円だった。8日に注文したのだが、上巻は10日昼に届いていた。下巻も発送済みだというので相変わらずアマゾンは早い、早過ぎるくらいだ。宅急便の従業員がねをあげる訳である(メール便なので関係ないか)。気になったのが1円で利益が出るのだろうか?だが、ネットで調べて見て利益が出る理由が解った。つまり、文庫本なのでメール便で送れて、この料金が契約次第で100~160円程度。アマゾンの取り分は1点あたり60円なので、結局、本代1円+送料257円-メール便代100円-アマゾン取り分60円=98円の利益が出るのだという。届いた本は新品と言っても良い位の状態で、定価は838円だった。筒井康隆が自書を1円で売られている事に腹を立てねば良いが、と訳者が気の毒になってしまう。


「悪魔の辞典」は昔持っており、何時までも手元に置くべき1冊だと思っていたのだが、引越しの時にブックオフ等に売ってしまったのだろう。アンブローズ・ビアスはアメリカ生まれの小説家、ジャーナリストと筆者紹介に書いてある。訳者の筒井康隆だが私は最初SF作家だと思っていたのだが、新作を待って読んでいるうちに、そんな枠などに大人しく収まっている人ではなく劇作家、俳優までこなすようになった。そしてクラリネットを演奏するジャズミュージシャンでもある。私が楽器ならクラリネットをお奨めするのは、筒井康隆先生でも吹けるからである。もっとも彼はホラを吹く方が何千倍も上手い(筒井先生、御免なさい)。映画にもなった「時をかける少女」も彼の作品であるが私には毒が無くてあまり面白くない。彼の良さは初期の毒のある作品にあると私は思っていて、はまるとなかなか抜け出せない。そんな毒を持った彼がさらに毒を持っているアンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」を訳したのだから、面白くない訳がない、と思いきやパラパラと読んで見たのだが、昔初めて読んだ時の感動や笑いが蘇って来ない。多分、私の感性が老化したのだろう。


それでもやはり破壊力が凄いので、本のカバーにも使われている名言(?)を幾つか紹介する。「格言:歯が弱い人のために、あらかじめ骨を抜いてある知恵」「空気:貧乏人でも肥れるように、神が気前よく与えてくれる栄養物質」「食欲:なぜおれは働かねばならんのか、という疑問の答えとして神が与えた本能」「やすらぎ:隣人の不安を見て生じる心理」等、かなりの毒が含まれている。読み手によっては「どこが面白いのか?」という方もおいでになると思うが、そう感じる方はまともな精神の持ち主である。それでもこの辞典が1909年から12年かけて作られているので、おおよそ100年前になるのだけれど「大砲:国境線の修正に使われる道具」「反乱:成功しなかった革命」などは今でも説得力があるので恐ろしい。100年過ぎても、世界のどこかで戦争が在り、止むどころか拡がる一方である。「一年:365回の失望から成る一定の期間」


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